北海道スキーはニセコだけじゃない、他にもスキーリゾートはいっぱい

スキーを楽しむ人たち

北海道にあるスキー場は、もちろん、ニセコだけではありません。北海道スキーを楽しめるのは10を超えますが、そのうちルスツリゾート、星野リゾートトマム、キロロスノーワールド、札幌テイネを紹介しましょう。

ルスツは札幌市外では新千歳空港から最も近いスキー場

スキーの轍
ルスツは、新千歳空港から車で90分、バスで2時間を切る距離にあります。札幌市内にある札幌テイネ以外では、北海道では世界から近いパウダースノーのスキー場になります。札幌からなら無料バスが毎日運行されている(ルスツリゾート宿泊あるいは、スキー場や夏の遊園地利用の場合。事前予約制)のも大きなポイントです。

1日ではとても回りきれません・・・

ルスツスキー場は3つの山にまたがって作られ、広さは北海道最大。スキーエリアは3つのエリアに分かれていて総滑走距離は43キロ、37本ものコースが用意され、1日ではとても回りきれない規模です。スノーモービル、スノーラフティングや、犬ぞり、冬の乗馬など他のスキー場ではなかなか体験できない遊びも人気です。

ゲレンデの外に飛び出ることのできるスノーパークや子供用のキッズパークも整っています。シーズンは4月初めまでとニセコよりは早く終わりますが、ハイシーズンの雪質はニセコに匹敵するかそれ以上です。

星野リゾートトマムは、ストレスフリーのリフト券を採用

新千歳空港から車で約100分。旭川や帯広からもほぼ同じ距離で、アクセスしやすいスキー場です。家族で行くなら手軽で最高でしょう。迫力満点の雲海テラスのある「トマム ザ・タワー」がシンボルです。コースはバリエーション豊かな29本。「オートゲートシステム」を導入しリフト券を携帯しているだけでゲートを通過できるシステムを採用しています。キッズスキー専用コースのあるのも魅力です。

キロロスノーワールドは積雪の多さと長蛇の列ではないのが魅力

スキーのために長蛇の列は苦手、という人にキロロスノーワールドは向いているでしょう。新千歳空港から車で約100分。札幌や小樽からなら約60分です。道内でナンバーワンの積雪量のエリアに22本のコースがあり、積雪は多い時で5メートルを超えます。シーズンは11月下旬から5月初旬までとニセコ並みです。

札幌市内にある札幌テイネは市民に親しまれたスキー場

冬季の札幌オリンピックが開かれたのは1972年。アジアと日本で初めての冬季五輪でした。その女子大回転、男子大回転などがおこなわれたのがこのテイネです。札幌市手稲区に所在し、札幌市の中心部からは40分の至近距離。名物「北かべ」は最大36度の未圧雪雪の急斜面になっていてエキスパートスキーヤーも満足できるコース、そのほか、初心者まで15のコースがあります。

どのスキー場もスキー、スノーボードが楽しめます。ゲレンデを外れたエリアを滑るバックカントリーも楽しめますが、ゲレンデとは違うマナーが求められます。

北海道スキーの新魅力、バックカントリースキーや歩くスキーを楽しもう

広大なゲレンデ

北海道スキーの楽しみは、広いゲレンデを縦横無尽に滑る魅力だけでなく、ゲレンデを外れたエリアを滑走するバックカントリースキーにもあります。森の中、スキーを飛ばすだけでなく、近年は「歩くスキー」もあります。バックカントリーはあくまで自己責任です。きちんとしたガイドをつけるなどした上で楽しみましょう。

ありのままの雪山を滑ることを、かつては山岳スキーとも呼びました

スキー場のリフト
バックカントリースキーのエリアは、ゲレンデの「自己責任エリア」となっている区域や、スキー場と離れた自然エリアをいいます。面積の広い北海道では、当然こうしたエリアも広大です。ゲレンデと違い、圧雪されていないので、当然、パウダースノーのエリアでもありますが、同時に、不規則な傾斜や、木や岩などの障害物も見え隠れしているので、それに対応できる滑走が要求されます。その意味では山岳スキー、冬山登山の要素もあることを忘れてはなりません。

バックカントリーは遭難、事故のリスクもあります

近年、山を走るトレイルランニングが盛んになってきたことと並行して冬のバックカントリーも、特に自然豊かな北海道スキーの一つとしてブームになりつつある感があります。しかし「雪山を滑る」ことは、知識と経験、きちんとした事前準備がないと最悪の場合、生命の危機に直面します。

リスクの一つは、スキーシーズンならでは、の天候急変による道迷いです。バックカントリーのスキーは自分自身でルートを決めていくため、ちょっとした道の間違いでも元に戻すために1時間近くかかるロストも少なくありません。雪崩のリスクも常に、と言っていいほどあります。スキーパトロールが来てくれるわけではないので、遭難のリスクもあります。雪山でのビバーク(緊急露営、野宿)もあり得ます。

こうしたリスクを回避するためには、必ず、パーティで行動すること、安全のための通信機器(無線やトランシーバー)、ツエルト(簡易テント)、ビーコン、プローブ(伸縮式の棒)など団体で持つ装備もバックカントリーでは必要です。

「歩くスキー」も人気上昇です

「歩くスキー」も人気が上がっています。ガイドが付き、ガイドの解説でより深く北海道の自然を知ることができます。大雪原、稜線、森林などを巡るのですが3時間程度の半日コースから温泉宿に泊まる宿泊プランまで、その内容はバックカントリースキーに比べれば「散策」「散歩」に近いものです。

北海道スキーのバックカントリーイベントを支える組織もあります

ベストスキーリゾートをスキーヤーの投票で選んでいる「ワールドスキーアワード」が2016年に「ベストヘリスキーオペレーター世界一」に選んだのが北海道バックカントリークラブです。ヘリコプターや、雪上車、スノーモービルなどを使ったバックカントリースキーを運営している会社です。

例えば、ヘリスキーであれば、ルスツスキーリゾートが麓にある尻別岳(標高1107メートル)を舞台に、有資格ガイドがつき、雪崩講習をした上で安全装備(ビーコン、プローブ、ショベル)を持ってホテルからの送迎、昼はピザなどを楽しめます。スノーモービルツアーなら、尻別岳の麓を滑るイントロツアーから上級まであります。ルスツだけでなく、ニセコグラン・ヒラフから送迎もしています。ひと昔前の日本では考えられないバックカントリースキーを安全に運営しようという組織がすでにできているのです。

世界から高く評価される北海道スキー。君臨するニセコ

スキーを楽しむ男性

北海道スキーの頂点に君臨するスキーリゾートは、11月下旬から5月初旬のゴールデンウイークまで約半年間にわたって極上のパウダースノーを楽しめるニセコです。2013年に始まり欧米などのスキーリゾートを対象に、世界のスキーヤーが投票して決めているワールド・スキー・アワードでは2016年まで4年連続で、日本のスキーリゾート地域の1位にニセコ・ユナイテッドが輝きました。2017年以降は、方式が「分野別世界一」の授賞だけに変わったものの、以前と変わらない人気です。

「外国人ばかりで日本らしくない」と外国人が嘆くほどの国際的人気

スキーを満喫
このニセコこそが2000年ごろに、オーストラリアのスキーヤーから世界的人気の火がついたスキー場でした。その後、ヨーロッパ各国からも訪れるようになり、さらに近年は、東南アジアの雪の降らない国や中国、台湾などからの来訪者が増えています。ますます国際化する様相に、以前から訪れていたオーストラリア人など一部の人は「ニセコは外国人ばかりで日本らしくない」と北海道の他地域のスキー場に移ったり、道外の白馬(長野県)などに拠点を移したりしている位です。

遠く蝦夷富士を望む斜面に5つのスキー場が

新千歳空港から車で2時間の距離にあるニセコは、アイヌ語の「切り立った崖(とその下の川)」の意味です。地元「ニセコ町のうた」のでだしは「仰ぐはニセコアンヌプリ」とあり、そのニセコアンヌプリ(標高1308メートル)の斜面に、ニセコモイワ、ニセコアンヌプリ国際、ニセコビレッジ、ニセコグラン・ヒラフ、ニセコHANAZONOリゾートの5つのスキーリゾートが反時計回りに並んでいます。遠く蝦夷富士(えぞふじ)とも称される羊蹄山(標高1898メートル)を望めます。ニセコモイワ以外の4つのスキー場は「ニセコ・ユナイテッド」を形成しています。

最も早く開発されたのがニセコモイワ

ニセコのうち、最も早く開発されたニセコモイワスキー場は1919年、大正年間、リフトもない時代にスキーヤーたちが数時間かけて山に登って滑るスキーから始まりました。町がロープトゥをつけ、1966年にスキー場になり、現在のニセコモイワスキーリゾートになりました。積雪4メートルを超え、パウダースノーは世界的にも有名です。3つのリフトで上級から初級まであり、プライベートな雰囲気を味わえるスキー場としてニセコ・ユナイテッドと一線を画しています。

ニセコ・ユナイテッドは広大なエリアにある4スキー場の連合体

ニセコのスキー場は、モイワの後1970年代から80年代にかけてアンヌプリ国際(今のニセコアンヌプリ国際)、ニセコ東山(今のニセコビレッジ)ができました。その2つと、のちにできたニセコグラン・ヒラフ、ニセコHANAZONOリゾートと合わせてニセコ・ユナイテッドを作ったのです。4つのエリアはシャトルバスで互いに結ばれ、倶知安町ともつながっています。4つのスキー場の全山共通リフト券もあります。

極上のパウダースノー、広大なエリアにバラエティ豊かなコースが待ち構えていて「コース外に出るにはゲートから」など事故を防ぐための「ニセコルール」を2001年から運用しており、これは全国のスキー場の模範になっています。ゲレンデも、ゲレンデ外のバックカントリースキーも楽しめるようになっています。

特色あるホテルやカフェなども備わり

カムイニセコ、Valeニセコ、木ニセコ、ヒルトンニセコビレッジなど特色あるホテルが各スキー場にあり、2020年1月にはHANAZONOエリアに、パークハイアットニセコHANAZONOがオープンします。ますまず国際的なスキー場として発展することでしょう。

実は日本人向けに裏メニューもあります

ニセコを中心にした地域は、日本人にとっては裏メニューが既にできています。オーストラリアの人たちが買ったマンションは「日本の冬」に使うもので、夏は「空き」のまま。そこを日本人が長期間借りて避暑生活を楽しむ…そんな世界的共存共栄の関係も生まれています。